院長交代の御挨拶
2003年5月20日に診療用チェアー3台、スタッフ5人で開業した当院は、地域の皆様に支えられ、先日20周年を迎えることができました。
開業当時を振り返ってみますと、阪大助教を3月末に辞めた私はクリニック(開業医)での勤務経験が皆無で、受付を担当する妻も医療事務経験がありませんでした。しかもオープニングスタッフの常勤歯科衛生士2名は3月に卒業したばかり。頼りになるのは、阪大小児歯科から週1回派遣される阪下先生だけでした。
開業時の裏話をひとつ述べますと、GW明けの8日(大安)に開業する予定で準備を進めていたのですが、安心できる歯科医療を患者さんに提供できる自信がなかったため、悩んだ末、20日(大安)に延期しました。真っ暗闇の中、右も左も分からず、とりあえず船出するイメージだったのです。でもこの延期が、『親切・丁寧で、安心でき、信頼される歯科医療の提供』を20年間意識し続ける原点になったように思います。
医院は2007年1月、医療法人に組織変更して現在に至りますが、20周年を機に阪下先生が院長に就任し、私は理事長職に就くことにしました。私が尊敬する帯広の栂安秀樹先生が2014年に当院を見学された際、次のようなお話をされ、それが頭の中に残っていたのが理由のひとつです。(以下、栂安先生のお言葉)
『全国約68000軒の歯科医院のほとんどが、歯科医師1人のスモールサイズであり、地域に根ざしても、継承されなければそこで終わりとなる。つまり、医科では中規模病院が末永く続いて地域のインフラに成り得るのに、歯科でそういう存在になるのは極めて難しい。歯科は、もっと地域に貢献できるのに、継承されなければ30年弱で途絶えてしまう。世の中は変化していくのに、ゼロからのスタートになることが多いから、いつまでたっても歯科は変わらない。』
上述の通り、院長職を阪下先生に引き継ぎますが、私が日々の診療から全く外れるわけではありません。臨床の最前線で週5日働くことを止め、私は週に3~4日の診療といたします。
当院では、開業当初から使用している診療用チェアーの入れ替えが目前に迫っています。また、各々のライフステージの変化から、中堅スタッフの入れ替わりが予想されます。このため日々の診療だけでなく、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の整備が必要と感じており、私の時間をそちらに割きたいと考えております。
これからも阪下先生をはじめとする医院スタッフと力を合わせ、質の高い歯科医療を提供し続けるとともに、時代に合った働きやすい職場創り・成長できる環境創りに尽力して参ります。
皆様、今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
医療法人社団たるみ歯科クリニック